イソトレチノイン
イソトレチノインとは
イソトレチノインはビタミンA誘導体(ビタミンAの構造を変えた成分)の一種で、皮脂の分泌を減らす作用と、皮膚の角化を抑制し毛穴のつまりを改善する作用を持ちます。
欧米のニキビ治療ガイドラインで強く推奨されている薬剤であり、ほかの治療では改善がみられない重症のニキビにも効果が期待できますが、日本では未承認のため自費治療となります。
治療の流れ
- 治療を開始する前に血液検査を行います。
- 通常1日1カプセル(20mg)で治療を開始します。
- 1か月後に血液検査を行います。治療を継続する場合、その後も定期的な血液検査が必要です。
- 3か月内服しても改善がみられない場合、1日2カプセル(40mg)への増量を検討します。乾燥などの副作用が強い場合には2日に1カプセルへと減量することもあります。
- 内服開始から6か月(新しくニキビができなくなってから2か月)を目安に治療を終了します。
内服できない方
- 妊娠中の方、妊娠の可能性がある方(内服中とその前後1か月間は妊娠してはいけません)
- 授乳中の方
- 12歳未満の方、成長期で身長が伸びている方
- イソトレチノイン製剤、トレチノイン製剤、ビタミンAでアレルギーを起こしたことのある方
- テトラサイクリン系の抗生剤(ビブラマイシン、ミノマイシンなど)を内服されている方
- うつ病などの精神疾患を治療中の方
- 肝機能障害のある方
- ビタミンA過剰症の方
副作用
妊娠 | 胎児の先天異常、流産、死産、早産 |
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皮膚 | 皮膚・粘膜の乾燥、光線過敏、脱毛、発疹 |
精神神経系 | うつ、精神病(幻覚、幻聴)、自傷行為、自殺企図などの重大な精神疾患 |
肝臓・消化器 | 肝機能障害、高脂血症、炎症性腸疾患 |
その他 | 頭痛、視力障害、めまい、悪心、嘔吐、脳卒中、筋力低下、筋肉痛、関節痛 |
Q&A
Q)内服中に気をつけることはありますか?
A)内服中とその前後1か月間に性行為をする場合は、必ず避妊を行ってください。もし妊娠した場合は、すぐに内服を中止し医師に相談してください。また、内服中とその後1か月間は献血をしないでください。
Q)内服終了後も効果は持続しますか?
A)イソトレチノインの効果は長期間持続しますが、内服を終了してから数か月で再発することもあります。症状に応じて2クール目のイソトレチノイン内服を検討します。
Q)低用量ピルや抗生剤を併用してもいいですか?
A)テトラサイクリン系の抗生剤は頭痛を生じやすくなるため併用できませんが、その他の抗生剤や低用量ピルの併用は可能です。